陶芸の虫

今月の稽古が始まる前に素焼きしたままほおっておいた”ぐい呑み”10個がやっと完成した。美濃地方で採れた赤土の粘土を使い、釉薬は白いマット釉を掛け、1250度で23時間、最後の8時間はプロパンガスを窯に注入点火し蒸し焼き状態にする還元焼成だ。残念だが都内では音、臭い、炎等のため電気窯しか使えないがそれでも完成度は高い。

そう”ぐい呑み”10個のつもりが実は8個、2個は”ドレッシング注ぎ”と”黒酢もずく入れ”に変身させてしまった。初めての”ぐい呑み”は、削り始めたときから焼酎ロックを想定して調整した愛すべきやつらだ。

ところで僕の作品を生み出している
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”まだん陶房”は敬愛する李康則さんが主宰する陶房だ。渋谷道玄坂で長年”清香園”なる焼き肉店を経営している李さんは昔から陶芸への思いが熱く、一時店の近くで、確か”玄武”だったかギャラリーを出していた。まだ新人だった塚本治彦さんをはじめ、今や名だたる先生達が作品を持ち寄っていたがバブル崩壊の波に呑まれ、閉店を余儀なくされてしまった。さぞやじくじたる思いであったろうと推察する。

しばしの間治まっていた李さんの”陶芸の虫”が、再びふつふつと騒ぎ始めたのが7年前、今度は世田谷の経堂に陶芸教室”まだん陶房”を開いた。僕も第一号の生徒になったが、これほどまで陶芸に魅せられるとは思わなかった。月曜日、火曜日は休み。他の曜日は決められた時間内なら好きな時に行って土に触れることができるのがいい。李さんはもちろん二人の心優しい女性が指導してくれる。商売っ気のない李さんはいつもにこにこ笑いながら苦しい資金繰りをしている。李さんとは25年以上のお付き合い、まだまだ続きそうだ。

 台風11号が上陸しそうな気配。夜の部のお客さんの帰途が気がかりだ。のろい台風は危険、
ゆっくりなぶる。呉々もご注意を。

by teruhiko_saigo | 2005-08-25 19:37 | その他 エッセイ