蛙の子は

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前歯の真ん中二本が生え変わった永久歯、そのまわり二本が間もなく肉から離れる乳歯だ。ぐらぐらしてご飯が食べられないとわめいている。

この子はついこの間まで自分が蛙の子だと信じていた。「本当はお外で虫なんか食べて生きて行かなきゃならないんだけど、私は虫食べられないから普通のご飯を食べさせてね」「おうちのベッドで寝かせてね」

こんなことを真面目に言っていたこの子に知り合いのおじさんが瓶に入った蛙二匹をくれた。肌色をしたつるつるの気持ち悪いやつだが大変なお気に入りで、ビタシュリンプという餌をやり、お風呂の残り湯を天日にあてた水を入れてやる。結構手のかかる奴らだった。

ある朝一匹いないと大騒ぎしている。水が多すぎてジャンプしたらしい。瓶を乗せていた鉢の上に蛙君が横たわっていた。泣き叫ぶ子、ため息をつく親。もう一匹いるんだから大事にしなさいと慰めてみたり。そして数日後、もう一匹が脱走した。またジャンプか。

これが探せど見つからない。この子の嘆きはご想像に任せるが二日後、変わり果てた蛙君が発見された。それも7〜8m離れた玄関で干からびている。よくもまあ小さな体で這って行けたものだ。ジャンプした蛙を探しに自分も決死のジャンプしたんだね。つらい旅だったろう。

それから生きた蛙は飼わなくなったが、犬が大好き、猫も大好き。動物の遊園地へ行くと陽が暮れるまで遊んでいる。飼ってやりたいとも思うが、何度も犬を亡くした経験からつい二の足を踏んでしまう。中学生になったら、もう駄目とは言えないような気もするが。

by teruhiko_saigo | 2005-08-29 15:35 | その他 エッセイ