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池上安兵衛。

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公演回数残すところ5回となった「忠臣蔵」
なんだかんだ言いながらも終わるもんやね。

休憩が短かかったから楽屋の楽しみもなかったけど
寸暇を惜しんで本読んだことかな…。

池波正太郎「堀部安兵衛」上下。これええよ。安兵衛に対する
池波さんの愛情をひしひしと感じさせてもらえるご本。

まだ前髪もとれていない少年の頃の安兵衛が路上で出会った山伏に
「剣の道を選べば短命に終わる」と宣告される。

安兵衛の目前で割腹して果てた父。その仇を追って出奔する安兵衛。
身を焦がすような女との情愛が破壊された時、安兵衛は?

その男女を追うために祖父の形見の脇差しを売ろうとした京、寺町
大石内蔵助との出会いがあった。運命の歯車は回っとったんやね。

池波さんってすごいね。読みはじめから読者をどーんと安心させて、

父弥次右衛門、大石内蔵助、菅野六郎左衛門、お秀、中津川祐見、
細井広沢、鳥羽又十郎。宿命を背負っているそれぞれの生き様が魅力的。

元禄という時代に生きた青年、堀部安兵衛。
「損得なしに、世を生きて見よどうじゃ」

”市場原理主義”まかり通るこの世に、解説の八尋舜右(やひろしゅんすけ)氏も
「個人の自由、利益の追求に奔るあまり、人間としての誇りも恥も、
そしてなによりも責任感を喪失した現代人に失望し、覚醒をうながしているのだ」
と解く。

何かあるよね。ええ役やらしてもらったと思いながら…おやすみやす。
by teruhiko_saigo | 2007-04-20 00:44 | ブックレビュー

月下の恋人

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浅田次郎さんを見つけるとつい手が伸びる。なんだ十月に出てたのか。
「月下の恋人は」短編が11作。男と女の不思議な出会いや別れが
浅田さんの得意技でファンタジックに味付けされ、
最後の一ページでしっかりと唸らせてくれる。

巻頭の”情夜”の青山えり子は最後の一言声だけの出演だが
思わず本をひっくり返して顔を覗きたい衝動に駆られたのは僕だけか。

”告白”の梓とマッチョな父
”忘れじの宿”の忘(ぼう)の壷
”回転扉”の謎の紳士
”月下の恋人”の海に浮かぶ二つの頭
そして”冬の旅”の少年は作者自身なのか…。
群馬、長野の旅で楽しみましたぞ。

長野県民文化会館の楽屋から送るけど
カメラとパソコン繋ぐケーブル忘れて写真アップ出来ない。
すまん帰ってからね。
by teruhiko_saigo | 2006-11-28 17:18 | ブックレビュー

”不味い!”

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小泉武夫さん。
東京農大応用生物科学部教授にして、農学博士。
この方の跳ねる文章が好きでね。
本屋さんで見つけました”不味い!”新潮文庫

自称ジュラルミンの胃袋を持つ小泉さんが
世界中を食して運良く(?)巡り会った”不味いもの”とは?

”人が美味しいものを食べたいのは当たり前のことで、
不味い者を自らすすんで求める人など居ない。
つまり「不味い」という負のそれは「美味しい」という
言わば正の食文化に対して、攻撃的にして破壊的、
否定的性格を持ったものであり、「不味さ」は
それが故に、常に標的となる宿命を持ったものなのであろう”
(文中より)

羊の小腸に血を詰めた「血の腸詰」はモンゴルの平原。
「カラスのろうそく焼き」は東北のとある湯治場。
世界一臭い魚の缶詰「シュール・ストレミング」はスウエーデン
この臭さをセンサーで計ると、韓国のえいの発酵食品"2230"に対して
ストレミングは"8070"想像つかん臭さやね。

我々ならば「あかんわ」と退散するところを不退転の決意で
胃に収め、不味さを分析し研究材料にしてしまう。そこが小泉先生
たる所以。そのひたむきさに感動すら覚える。
虫、蛇、カラス…いややいややと言いながら
ずるずると小泉ワールドに引きずり込まれた。

カラスだけは堪忍して欲しい。それだけは食えん。
by teruhiko_saigo | 2006-07-11 16:00 | ブックレビュー

宇宙の中のたった一人の存在

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詩人、エッセイスト、画家の松永伍一さんは1930年福岡で出生された。
僕が日生劇場でリサイタルを開いた頃だからかれこれ35年来のお付き合いになる。

上梓される度に美しいお手紙付きで著書を贈って下さるので、
我が書斎には専用のコーナーがあるほど松永さんで充実している。

今回戴いた『人は言葉に癒され、言葉に励まされる』PHP研究所は、
最愛の奥様の介護のなかで書き始め、葬儀を終えた直後に脱稿されたとお手紙にあった。

「まずは深呼吸」から始まる”物事がうまくいかない時に”
”人間関係に悩んだ時に””自分に自信をなくした時に”
”家族のことで悩んだ時に””毎日がつまらなっくなった時に”
”人生に迷った時に”の六章から成る。これまでの百数十冊の著書の中から
抜粋された松永さんの人生語録である。
僕の好きな言葉をいくつか。

「悲しみは
 踏みつけられるうちに
 希望の芽を出す」

「真に絶望した者だけが、
 本当の希望を持てる」

「生きているー
 ただそれだけで尊いことです」

「悠然と空を見上げていると
 肩の荷が軽くなる」

「感動で涙ぐんだ回数だけ
 心の年輪ができる」

ふと心がつまった時、僕は再びこの本を開くだろう
誰にでもある生活の中の小さなほころびにつまづいた時に。
「身近なところに幸せは潜んでいる」そうだから。

五木寛之さんの『大河の一滴』が文庫化された時
松永さんの解説に痛く感動した。ご本人の許可を得たので掲載したい。


”「いまどこに居るか」と、おのれに問うてみると、まず「ここ」

と答えるしかない。元気であっても「ここ」、病んでいても「ここ」、

老いていても「ここ」である。そして、いのちあるものはすべて死ぬ。

死にそこねる人は一人もいない。だから、自分から死ななくてよいのだ。

絶望した「ここ」を見つめていて、

そこから希望が生まれてくればありがたいし、

苦しみがつづいていくとしても、それを希望の種子としよう。

宇宙は一つの色で塗りつぶされてはいない。白と黒があり、光と闇があり、

善と悪があり、苦と楽があり、生と死があり、健康と病いがあり、

男と女があり、天と地がある。すべてを相対的に見ていくと、

そのように造られた宇宙の構造を素直に認めたくなる。

それができれば楽になるだけでなく、他人が見え、自分がより鮮明に見え、

「宇宙のなかのたったひとりの存在」が限りなく尊く思えてくる。

五木さんの伝えたいのはそういうことだと私は思う。

まさしく「人は大河の一滴」の肯定である。 
by teruhiko_saigo | 2006-05-27 18:41 | ブックレビュー

”椿山課長の七日間”

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”鉄道員(ぽっぽや)””壬生義士伝”と、
浅田次郎さんの本を愛読してきたけど
これはまた実に絵になる本。並はずれた構成の巧みさにうなる。
笑いと涙の機関車をごっとんごっとん誘導し続ける浅田ワールドに
またしても脱帽。

天国行きのエレベーターを前にしたハゲでデブの中年男、
子分のために財形貯蓄する心優しきテキヤの親分、
本当の親を探したい少年。死んでも死にきれない三人が
特別の計らいで現世に舞い戻る。

死後の世界はある!と楽な気持ちになったり、
「反省ボタン」や「よみがえりキット」といった小道具が登場したり
浅田さんならではの手法で楽しませてくれるけど、
大きなテーマは「崩れかけた家族の絆」
本を閉じる頃、何だか心がもわーっと暖かくなる。
by teruhiko_saigo | 2006-05-22 15:58 | ブックレビュー

NOBUNAGA

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本能寺で明智光秀に討たれた織田信長の遺骸はどこへ消えたんやろ?
「信長公記」の筆者太田牛一がその謎を追う。
75歳の著者が老年の主人公に感情移入し、光秀謀反の真犯人、
桶狭間の合戦、秀吉の大返しといった歴史上の謎の真相究明に挑戦しはります。

虐殺者信長と改革者信長。牛一が敬愛してやまない信長の光と陰。
「奇跡には必ず裏があるもの、歴史とは勝者の作り話に過ぎない」
「一見華やかな勝利の陰に、どれほどの陰湿な駆け引きや陰謀があったか」
信長の、秀吉の息づかいと著者=牛一の心の葛藤が否応にも伝わってきて
もう息苦しいわい・・何とかして。

”菓子匠という権威にあぐらをかき、不思議を見ればひたすらそれを探るという匠の初心を失ったか。南蛮の菓子一つの真似すらできぬ。情けない。
余は、この国の無能者の掃除人になることに決めた”(本文より)
南蛮渡来の金平糖をかじり、安土城の天守から天象観測を夢見た信長。
膨大な文献からスクリーンに映し出されるのは新たな信長の人間像やね。

412頁は重いけど、ぐぐーっときまっせ。
by teruhiko_saigo | 2006-03-08 16:45 | ブックレビュー

大遺言書

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森繁さんには勝てんけど、この歳になるとね訃報が多いんよ。
”時間ですよ”の久世光彦”さんが亡くならはった。ドラマの仕事は
ご一緒できなかったんやけど”かもめ”と”あなたを忘れない”を小谷夏の
筆名で作詩していただいたことがある。

その頃はドラマの人やなあと漠然としてたんやけど、数年後
いいネタは無いかと走り読みした直木賞候補「逃げ水半次無用帳」で
小説家としての久世さんに接して正直ぶっ飛んだ。

連載中の週刊新潮”大遺言書”にしても、
森繁さんのエピソードもさることながら前後をつなぐ久世さんの名文も楽しみやった。
この人えらい人やな・・と思っていた矢先・・あれ自分の遺言やったんですか?

森繁さん初め、松山英太郎も竹脇無我も仲良かったから、
結構お会いする機会は多かったけど、小説読んでからお会いすると緊張した。同じ”てるひこ”やのにね・・惜しいし・・早過ぎる・・一度・・演出して欲しかったね。
何より・・森繁の親父さんが心配よ。

 ”かもめ”

 季節はずれの 海を見ている
 あきらめきれない 男がひとり
 仲間にはぐれた かもめが一羽

 北国の暮らしには もう慣れたかい
 寒いはじめての土地だから 気にかかるよ
 ゆきずりの二人が ふとすれ違った
 たった それだけのことだけど 忘れられない
 一年身を寄せあって いま別れて
 甘い想い出 甘い想い出だけが 糸をひくよ

    詩 小谷 夏
    曲 小杉 仁三

久世さん・・・皆が好きな歌です。安らかに・・・・合掌。
by teruhiko_saigo | 2006-03-03 23:52 | ブックレビュー

月の夜は

ほろ酔い加減でタクシー乗ったら友達から電話「きれいな月出てるよ」

動いてる車からはなかなか見えんよね ”月はどっちに出てる” 見た?ええ映画やったね

突然車降ろしてもろて 何や真上や・・満月や・・きれいよ・・おまけにちょっと離れて金星がやけに赤く輝いて

思わずカメラかまえたけど 地球の夜は明る過ぎるんやね 
よほどの長いレンズでも持ってなかったらこの月の美しさは撮れんのよ

ブロガーの一人としては何とか伝えたいと言う使命感に燃えるんやけど

ええよね、こんな時間に起きてる人少ないもんね

・・ぶるぶるっ・・いきなり寒なった東京を実感しながら

そろそろ水仙が咲く頃かと 家路についた
by teruhiko_saigo | 2005-11-17 01:29 | ブックレビュー

で。

今日中に帰って来たわけよ。いい感じで飲めて良かった。これから音楽聴こ思うねん。他人のCDなど勧めとないけど。ええもんはええ。”Raul Midon"最高!ええ?スティービーワンダーを思わせる。泣けるよ。凄いリズム感に哀しさ感じるよ。泣いて。(悔しい)泣かしたい!せめて十分の一でも僕のステージでね。悔しさ感じて、でも聴いて寝るよ。
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by teruhiko_saigo | 2005-11-02 00:09 | ブックレビュー

何でこうなる?

もうちょっと早い時間に飲みに行くつもりが、家の料理旨そうで、つい、つまんでしまった。ほんなら一杯くらいということで、二杯飲んでしまった。子供達はよう遊んで、よう勉強しとる。よしよしそろそろ出かけてパトロールせな・・・町の安全が保てん。どこ行こかな?銀座、赤坂、六本木?ええね、ええね、まあ今夜は手短にローコストに、近所やね。商店街歩けば二十五六人は仲間にぶつかる。今夜はやけに酒が旨い!”晴耕雨読”(せいこううどく)晴れたら畑耕して、雨降ったら本を読む。知ってるわな。ほんならちょっと行てくるわ。
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by teruhiko_saigo | 2005-11-01 20:04 | ブックレビュー

西郷輝彦本人による徒然日記


by teruhiko_saigo
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