
本能寺で明智光秀に討たれた織田信長の遺骸はどこへ消えたんやろ?
「信長公記」の筆者太田牛一がその謎を追う。
75歳の著者が老年の主人公に感情移入し、光秀謀反の真犯人、
桶狭間の合戦、秀吉の大返しといった歴史上の謎の真相究明に挑戦しはります。
虐殺者信長と改革者信長。牛一が敬愛してやまない信長の光と陰。
「奇跡には必ず裏があるもの、歴史とは勝者の作り話に過ぎない」
「一見華やかな勝利の陰に、どれほどの陰湿な駆け引きや陰謀があったか」
信長の、秀吉の息づかいと著者=牛一の心の葛藤が否応にも伝わってきて
もう息苦しいわい・・何とかして。
”菓子匠という権威にあぐらをかき、不思議を見ればひたすらそれを探るという匠の初心を失ったか。南蛮の菓子一つの真似すらできぬ。情けない。
余は、この国の無能者の掃除人になることに決めた”(本文より)
南蛮渡来の金平糖をかじり、安土城の天守から天象観測を夢見た信長。
膨大な文献からスクリーンに映し出されるのは新たな信長の人間像やね。
412頁は重いけど、ぐぐーっときまっせ。