
”鉄道員(ぽっぽや)””壬生義士伝”と、
浅田次郎さんの本を愛読してきたけど
これはまた実に絵になる本。並はずれた構成の巧みさにうなる。
笑いと涙の機関車をごっとんごっとん誘導し続ける浅田ワールドに
またしても脱帽。
天国行きのエレベーターを前にしたハゲでデブの中年男、
子分のために財形貯蓄する心優しきテキヤの親分、
本当の親を探したい少年。死んでも死にきれない三人が
特別の計らいで現世に舞い戻る。
死後の世界はある!と楽な気持ちになったり、
「反省ボタン」や「よみがえりキット」といった小道具が登場したり
浅田さんならではの手法で楽しませてくれるけど、
大きなテーマは「崩れかけた家族の絆」
本を閉じる頃、何だか心がもわーっと暖かくなる。