
小泉武夫さん。
東京農大応用生物科学部教授にして、農学博士。
この方の跳ねる文章が好きでね。
本屋さんで見つけました”不味い!”新潮文庫
自称ジュラルミンの胃袋を持つ小泉さんが
世界中を食して運良く(?)巡り会った”不味いもの”とは?
”人が美味しいものを食べたいのは当たり前のことで、
不味い者を自らすすんで求める人など居ない。
つまり「不味い」という負のそれは「美味しい」という
言わば正の食文化に対して、攻撃的にして破壊的、
否定的性格を持ったものであり、「不味さ」は
それが故に、常に標的となる宿命を持ったものなのであろう”
(文中より)
羊の小腸に血を詰めた「血の腸詰」はモンゴルの平原。
「カラスのろうそく焼き」は東北のとある湯治場。
世界一臭い魚の缶詰「シュール・ストレミング」はスウエーデン
この臭さをセンサーで計ると、韓国のえいの発酵食品"2230"に対して
ストレミングは"8070"想像つかん臭さやね。
我々ならば「あかんわ」と退散するところを不退転の決意で
胃に収め、不味さを分析し研究材料にしてしまう。そこが小泉先生
たる所以。そのひたむきさに感動すら覚える。
虫、蛇、カラス…いややいややと言いながら
ずるずると小泉ワールドに引きずり込まれた。
カラスだけは堪忍して欲しい。それだけは食えん。