
時折、大きなネズミが集団で走り回っているような音が天井を揺さぶり、最後の仕事を全うするかのごとく年代物の業務用クーラーが全身でうなりを上げたり休んだり。ねずみ達は上階の劇団、立ち回りの真っ最中だろう。それでも今日は台風一過で湿気のない分、稽古が始まって以来の過ごしやすさではある。そんな中、わが”劇団ラブホ”はというと、実に静かな落ち着きの中で粛々と稽古を積み上げている。
他のカップルが稽古している間は台本に食らいついて、どう言うか?どう動くか?と思案し、出番が来ると演出家とディスカッションしながらまとめてゆく。神戸みゆきさんは実際に21才なので「こんな場合どうする?」と演出の松本さんに”恋”について聞かれても、58のおじさんと同じ答えが出るわけがない。「でも私けっこう古典ですよ」松本さんと僕は同世代だから「古典?」「俺たち古典なんだ」松本さん、とぼけていて、いきなり「西郷さんベッドに寝るときは右側ですか左側ですか?」「僕はね、えーっと?!ちょっと待ってよ!んもう21の女の子の前でする会話じゃないでしょう」でもその21の女の子が、おじさんを
"LOVE×HOTEL"に誘うんだから、はたしてこの年齢差を乗り越えて恋愛が成り立つものなのか?じっくり研究してみようじゃないの。